まつがく長野柳町校でその年の中学受験を目指した生徒のうち、「いちばん厳しくして、いちばん成績が伸びた」と松本伸司校舎長が明かしてくれたのが、草太さんです。
松本先生、お母様と3人で受験期を振り返ってもらう中で、終始「緊張します」と言っていた草太さん。自分を見せるのが苦手で、作文と面接が最大のネックになりつつも、家では楽しそうに勉強をする姿も見せていました。
コツコツ積み上げてポテンシャルを引き出していった草太さんの中学受験のリアルな姿を、松本先生、草太さん、お母様の3人で振り返ってもらいました。
草太くんのタイムライン
| 小学校 | 長野市立城山小学校 | 
|---|---|
| 将来の夢 | 機械を動かすプログラムを作るエンジニア | 
| まつがく入塾 | 全国統一テストを受験して、小6の5月に入塾 | 
| 勉強のスペース | 1回120分×週3回通う | 
| 得意 | 算数、国語 | 
| 不得意 | 作文、面接、社会 | 
| 中学入学したら | ラグビーのクラブチームを続ける | 
信大生との交流
 
																		- 松本
- 草太くんは、入塾したのが小6の5月でした。それまでは違う塾に通っていたんですよね。 
- 草太
- はい。 
- お母様
- 受験対策をやっている塾ではなかったのと、受験のために通塾回数を増やすのが距離的に厳しかったので、相談してまつがく柳町校に替えました。私が答えてしまっているけど……。 
- 草太
- (小さな声で)緊張してます……。 
- 松本
- 附属中受験を考えたのは、いつごろから? 
- 草太
- 5年生の夏あたりです。 
- お母様
- 5年生の終わり頃じゃなかったっけ? 
- 草太
- 最初に意識したのは夏頃だったと思う。 
- お母様
- 私が「附属中に行きたい」と本人から聞いたのは5年生の終わりぐらいだったと思います。5年生はコロナの影響で休校になって、受験どころじゃない雰囲気だったので、私の意識になかったのかもしれません。本人なりにいろいろ考えていたのかな。 
- 草太
- 昔、信州大学のキャンプに参加したことがあったのが、附属中に憧れたきっかけです。 
- お母様
- 教育学部が主催しているキャンプが、年長さん向けと小学校3・4年生向けとありまして。教育学部の学生たちも大勢参加します。年長の時は3泊4日、3・4年生は5泊6日と、けっこう長めのキャンプに草太ひとりで参加しました。 
- 松本
- そのキャンプに、附属中の卒業生がいたんですよね? 
- 草太
- はい。 
- お母様
- 信大の教育実習生の先生とも、小学校でいい関係を築けたのもあるかもしれません。そのキャンプに参加されていた学生さんが、教育実習で草太の小学校にいらっしゃって。いろいろ話をしたりして、親しくなっていたみたいです。たしか、その教育実習の先生のバイト先に押しかけていたよね? 草太の学校の帰り道にバイト先があって、シフトを把握して(笑)。 
いちばん厳しくていちばん伸びた
 
																		- 松本
- 受験勉強をしている間、プレッシャーは感じていた? 
- 草太
- 受験日が近づけば近づくほど緊張が倍になっている感覚でした。緊張感とたたかうのがつらかったです。 
- 松本
- でも、勉強は本当によくがんばったよね。 
- 草太
- 全国統一小学生テストの1回目と2回目の点数がぜんぜん違っていて、驚きました。 
- 松本
- 入塾前の春頃と比較してうんと伸びて、11月のテストはこちらが想定した以上のいい点が取れていたので、よくやったなと思いましたよ。 
- お母様
- 春の段階では、附属中はE判定だったんですよね。 
- 松本
- 特に夏期講習はがんばりました。夏期講習は16日間、おおよそ2週間ちょっとやります。朝から昼までか、夕方から夜までの2回あって、草太くんはほぼ毎日のように、どちらかの時間帯には必ず来ていたよね。 
- お母様
- 家でもがんばっていたね。 
- 草太
- いちばん遅れていて苦手だった社会を、問題集丸ごと1冊やっていました。 
- 松本
- 中学受験はみんなそうなんですけど、どうしても理科・社会の勉強が遅れがちになります。草太くん、社会は最初のころ200点満点で20~30点くらいだったので、相当がんばりましたよ。それが結果につながったね。 
- お母様
- 理科と社会はけっこう苦労していたような記憶があります。 
- 松本
- みなさん心あたりがあると思うんですが、算数と国語がメインという意識がありませんか? 算数と国語は小1からやりますし、学校の授業時間数も多いです。理科・社会は小学校3~4年生からということもあって、サブキャラ扱いじゃないですけど、どうしても後回しになってしまうんですよね。 
- 草太
- 社会の歴史は、やってみると「楽しいな」と思いました。でも、しばらくやると飽きてしまって……。 
家庭でのサポートは「特別なことは何も」
 
																		- 松本
- 草太くんががんばれたのは、お母さんのおかげだと思いますよ。もちろんがんばった主体は本人ですから、本人ががんばったことは間違いないんですが、モチベーションを高めてやらなければならないことをやるようにしてくださったのはお母さんだと思います。 
- お母様
- そうでしょうか。 
- 松本
- 家庭学習も、多い時で3~4時間やっていましたよね。 
- お母様
- 松本先生にはそんな風におっしゃっていただいたんですけど、本人がわりと楽しそうに勉強していたので、あんまりこちらから口を出す必要がなかったんです。しいて言えば、おやつを出すタイミングくらいでしょうか(笑)。あと、睡眠時間はちゃんと取ってもらうようにしていました。勉強で睡眠時間が減っては本末転倒なので。でも、私がやっていたのはそれぐらいだったように思います。 
- 松本
- そうだったんですね。でも、お母さんが緊張したり不安になったりせずに、どっしりとサポートしてくれていたのは、間違いないところだと思いますよ。お母さんに安定感があったから、こちらは「がんばらないとダメだよ」とプレッシャーをかけることができました。草太くんの心が折れないように、ご家庭で心理的なケアをしていただけるかどうかが、とても大きかったんです。なので、とても助かっていました。 
- お母様
- 作文と面接は気がかりでした。 
- 松本
- 最初は、300字の作文を80分で1行しか書けない状態でした。2学期の頃だったかな。試験では書けないのは絶対にアウトなので、僕は顔面蒼白でした。でも、書けるようになった。本当にがんばりました。 
- 草太
- 塾で作文の課題を何度も出してもらったので、それでだんだん、作文に慣れて「こう書けばいいんだな」というコツみたいなものをつかむことができました。 
- 松本
- 草太くんは、型を教えればできるタイプなんですよ。作文も型を伝えるようにしたら、最後はだいぶ早く書けるようになりました。 
- お母様
- 家では、いちばん最初の頃、1本の作文に8時間かけていました。次は4時間かかって、だんだんかける時間が短くなっていきました。「時間がもったいないよ。遊べないよ」と草太に声をかけていたのを覚えています。でもすごいのが、その間、「じゃあゲームやっちゃおう」みたいに投げ出すことはなかったんですよね。 
- 草太
- そうだね。 
- 松本
- とても真面目なところも草太くんのいいところだね。やりなさいと言われたことはちゃんとやっていましたよ。 
カンニング疑惑!?
- 草太
- 面接は今でも慣れません。あまり好きではないです。 
- お母様
- 面接の練習は、塾からの帰りの車の中、5~10分くらいでやっていました。学校の事とからめながら聞いて、「今日どうだった?」からはじめて、だんだん面接風に(笑)。松本先生から、おうちでの面接練習も、どんどんつっこんで質問して深掘りしてくださいとアドバイスをいただいていたので。 
- 松本
- 今年の中学受験生の中では、いちばん厳しくやったと思います。草太くんにもそう伝えたよね。それに耐えられたというのは、成績の急激な伸びと関係していると思います。 
- 草太
- 「これをやらないと怒られるな」と思って、焦っていました。でも、それがあったから体に自然に勉強が染みついたのかなと思っています。 
- 松本
- 生徒さんはそれぞれタイプがあって、そのタイプを把握するのにどうしても時間が必要です。草太くんの場合は、タイプが分かってから入試までが短かかったので、心配はありました。 
 最初に面接練習をした時、草太くんは止まってしまったんです。まったく分からなくて止まっているのか、言いたいことを言葉にできなくて止まっているのか、どちらなんだろうと観察していました。試しにいろいろ投げかけてみると答えは出てくるので、後者のタイプだなと。ならばと、「こういう風に聞かれたらこう答えよう」とアドバイスすると、次はきちんと返すことができるようになりました。ただ、質問を変えると止まってしまう。それで“型”を覚えてもらうことにしました。本番ではどんな質問が来るかわからないので、30パターンくらい型を覚えてもらう必要があって、面接の練習はそうとうやったね。本番で詰まったら、附属中はグループ面接なので、前の人と同じことを言おうとアドバイスしていました。詰まって何も言えなくなるよりマシですから。
 
																		- お母様
- 算数や国語はどんな感じだったんですか? 
- 松本
- 入ってきた当初は不安がありましたが、夏期講習が終わってからの小テストではすごかったですよ。今だから打ち明けますけど、講師が「草太くんの点数がおかしい」と言ってきたんです。「いくらなんでも点数の上がり方が急激すぎる」「もしかしてカンニングをしているんじゃないか」と。 
- お母様
- 衝撃! 
- 草太
- (笑)。 
- 松本
- そこで、カンニングが絶対にできないかたちでテストをやってもらうと、きちんと点数が取れている。本物の力がついていることが分かって、そこからは、教科学習はやることをやっていけば大丈夫だと確信しました。とにかく、講師がいぶかしがるほどの成績上昇だったんですよ。 
苦手だった社会がスラスラ解けた!
- 松本
- 学校では、受験しているお友だちはいましたか? 
- 草太
- はい。クラスに僕を入れて4人いました。受験前は「みんなでがんばろう」と言い合っていました。 
- 松本
- 当日はどうでしたか? 
- 草太
- 緊張しすぎて、逆に何も思わなくなっていました。 
- お母様
- たしかにそうだったかもしれません。前日までは「どうしよう、どうしよう」という感じだったんですが、当日は楽になったように見えました。 
- 松本
- 試験の手ごたえはどうだった? 
- 草太
- 苦手だった社会がスラスラ解けたので、自分でも学力が伸びたことが感じられました。 
- お母様
- 苦手な面接も、塾で練習を重ねていたので、いつも通りやればいいという感じだったみたいです。試験が終わって「どうだった?」と聞いたときの第一声が、「楽しかった」だったんです。びっくりしました。 
- 草太
- 苦手だったものがスラスラ解けるのは楽しくて、だんだん緊張もほぐれていきました。作文もけっこうちゃんと書けたので、うれしかったです。 
- 松本
- 作文が書けたというのは、本当によかった。最後まで、作文が書けない、面接で止まる懸念があったので。ラグビーのクラブチームに入っているけど、ラグビーの試合前は眠れなくなったりしないの? 
- 草太
- 眠れないほど緊張することはないです。 
- お母様
- ラグビーのワールドカップが日本で開催された後、お友だちに誘われて4年生の時からはじめました。楽しくて、とてもいいスクールで。誘ってくれたお友だちとは、今はラグビーのパートナーだよね。 
- 松本
- 草太くんのポジションは? 
- 草太
- フォワードです。 
- 松本
- 相手をガンガン止めないといけないポジションだね。 
- お母様
- それがなかなか難しいんだよね。 
- 草太
- 中学に入ってもラグビーは続けようと思っているんですが、中学生になるとかなり本気に……。 
- 松本
- タックルが本気になりますよね。 
- 草太
- 中学生を見ていると、タックルのたびにすごく大きい音がしていて、ちょっと怖いなというのがあります。なので、ひとまず続けてみて考えようかなと思っています。 
- 松本
- まつがくも、中学に入ってからも続けてくれると聞いています。 
- 草太
- はい。中学で勉強についていけるか心配なので、まつがくも続けます。高校は長野高校か高専(国立長野高専)に行きたいです。大学はまだイメージが固まっていません……ああ、緊張します。 
- 松本
- (笑)。こんなに緊張するタイプなのに、苦手の作文も面接もよくがんばって克服したね。合格、本当におめでとう! - (取材・文/くりもときょうこ) 
 
																		 
					 
									