卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

難しい社会問題の解決には、多方面からいろんな解法を考えてみたり、アプローチしてみたりする数学の思考力が役立つはず。だから、数学の先生になりたいというK. S.さんは、高3の6月にまつがく新潟女池校に入りました。学校推薦型選抜に挑戦して合格を手にします。児玉さんのやりたいことを深掘りする対話を重ねた内山暢和先生と、受験期を振り返ります。

K. S.さんのデータ

●出身校/新潟第一高等学校 ●将来の夢/数学の教員

高3・6月

まつがく新潟女池校に、体験を経て入塾。当初は新潟大学理学部に一般選抜での合格を目標としていた。苦手の英語と、数学の強化を目的にatama+に取り組む

7月

英語の基礎固めを7月頭に終えて演習へ。数学は苦手分野の補強を進めながら演習

8月

内山先生から学校推薦型選抜を提案

9月

校内選考のための提出書類を進め、9月末に学校推薦型が本決まりに

10月

模試の判定はB~C。一般選抜のため共通テスト対策と二次試験対策を進める。同時に学校推薦型選抜の対策にも着手

11月

学校推薦型選抜の提出書類や面接の対策に集中する。週5・1回80分の添削と練習を繰り返す。基礎教養試験の対策も行う

12月

新潟大学理学部理学科数学プログラムに学校推薦型選抜で合格

2月末まで

大学入学後に備えて、数学と英語の学習をすすめる

1. 漠然とした苦手の解像度が上がった

1ヵ月で英語の基礎固めをやりきる

内山

K. S.さんがまつがくに入ったのは高3の6月です。学習塾や予備校の検索ポータルサイト「塾ナビ」で近隣の塾を探したそうですが、調べる時にどういったことを重視していましたか?

K. S.

個別指導が大前提でした。単元ごとに、もっとやりたいとか、逆にそこまでがんばらなくていいという調整ができる塾がよかったからです。あとは家から通いやすい範囲で調べました。

内山

他の塾にも体験など行かれたんですか?

K. S.

まつがくからの返事があまりに早すぎて……。他の塾が「資料を送りますね」と言っているところ、まつがくだけが「では明日面談しましょう」と返ってきました(笑)。

内山

そうだったんですね(笑)。まつがくに入った時は苦手の英語と、得意な数学の強化が目的でした。初回の面談で「時間がないので、英語は1ヵ月で基礎を完成させる必要があります」と伝えた時、覚悟を持った態度で応えてくれました。

K. S.

まずい点数を直近の定期テストで取っていたので、何も言わずにやるしかないと覚悟しました。

内山

通常は1ヵ月で終わらせられるものではありませんが、K. S.さんはとても芯が強くて腹が決まっていたので提案できました。実際にやりきって、共通テストレベルの演習が15点から60点まで上がりました。

数学の思考力を社会問題解決の力に

内山

K. S.さんは、いつから数学の先生になりたいと思うようになったんですか?

K. S.

高校2年生ぐらいです。

内山

「解決されていない社会問題をニュースで見て」という視点はユニークですよね。

K. S.

物価高やウクライナ侵攻のニュースを見て、こういう難しい社会問題の解決能力を養うには、数学が適していると思ったんです。数学の難問も、今はいろんな分野や角度から取り組まれています。それと同じように、社会問題に対して多方面から取り組めるようにできたらいいなと考えています。

内山

面接の練習でもこんな風に話しながら考えを深めていきました。K. S.さんが教員として数学を教える意味は、できる限り多くの人が社会問題を解決しないと間に合わないという前提があったと思います。もちろん専門知はありますが、数学的に多様な解法やアプローチをする根本の思考力が必要だから、それを教えられる数学の教員になりたいと話していましたね。数学といえば、趣味で関数アートもやっていますよね。

K. S.

高校の数学研究会に入る前からやっていて、他の部員にもすすめていました。

内山

絵を描くことで関数を知っていくのは面白いですよね。K. S.さんにとって数学はどういう存在ですか?

K. S.

“形のない道具箱”みたいなものです。

内山

自由でいろんな道具が詰まっているイメージでしょうか。ポエティックですね。話を戻して、英語の基礎は7月頭には完成させて演習に入りました。atama+のよかったところはありますか?

K. S.

英語はただ漠然と苦手としか思っていなかったんですが、atama+で英語の「ここ」ができてないということが可視化できたのがよかったです。

内山

あと、受験勉強でいちばん力がついたのは数学力で、特に問題を解くときに視野が広がったと言っていました。

K. S.

問題に対していろんなアプローチを考えられるようになりました。

内山

K. S.さんは数学研究会に入っていたり理学部志望だったりする割に数学に穴があるなぁと、実は感じていました。

K. S.

(苦笑)

内山

数学研究会や関数アートで思考力は積み重ねてきていたので、あとは知識や解法パターンが身につけば大丈夫だろうと思っていました。英語でも同じ現象が起こっていたので、やはりもともと思考力を磨いていたことが大きかったと思います。

2. 合格の可能性を高めるために

学校推薦型選抜に挑戦する

K. S.

8月に内山先生から、学校推薦型選抜の提案がありました。

内山

面談の時に、できる限りチャンスがあったほうが合格の可能性が上がるからと提案させてもらいました。ただ、当初からK.  S.さんもお母様も「推薦はできないと思いますよ」と消極的だったので、まずは学校に聞くだけ聞いてみてと話し合いました。

K. S.

それでいけそうだということになって、校内選考の提出書類を先生と一緒に考えながら書きました。9月末に校内選考に通ってから10月中旬までは、共通テストと二次試験の対策に取り組みました。

内山

並行して推薦対策も少しずつ始めました。提出書類や面接は、大学のことを調べ切れていない状況では薄い内容しかアウトプットできません。それで10月中旬までは、新潟大学のアドミッションポリシーや、どんなところに力を入れていて自分はどこに興味を持つかを調べる時間に充てていました。本人の言葉で書ける、話せるための下準備ですね。あと、数学科の学校推薦型選抜では数学の基礎教養試験があります。

K. S.

基礎教養試験は何をしたいのかがある程度分かりやすかったので、比較的解きやすいという印象でした。

内山

10月の段階で英語以外の科目は判定B~Cといいところまで仕上がっていたので、基礎教養試験対策に時間を割けました。

K. S.

10月中旬からの1ヵ月は学校推薦型の対策に集中しました。

内山

提出書類である面接の参考資料もよく練りましたね。将来の夢、高校でがんばったこと、自分の長所などを書きます。

K. S.

がんばったことは写真部の活動を書きました。

内山

新潟大学のアドミッションポリシーは地域貢献や社会貢献が色濃いです。K. S.さんは部長として他の部員の相談に乗ったり、部を盛り上げるためにいろんな作品展に出して部として成績が出るようにしたりするなど、ぴったりでした。

考えを深めていくプロセスを丁寧に

K. S.

面接の練習は苦労しました。

内山

週5回、1回80分取り組みました。最初、面接がうまくできないのはK. S.さんに限ったことではありません。どんなに優秀な高校生でも、最初は浅いことしか書けないし言えないんですよね。私からは「ここが足りない」とざっくりした課題を設けて、自分で理解しながら整理してもらうことを何回も繰り返しました。

K. S.

最初はまず文章にしていました。提出書類が面接と連動しているので、面接の基礎体力をつけるためのトレーニングにもなっていました。

内山

学校推薦型も就職活動に近いところがあって、結局「本人がやりたいこと」「なぜその学校に行きたいか」「学校が求めている生徒像」が一致していることが大切です。だから、最終的なゴールをまず決めてそこから逆算して考えてもらうことを意識していました。その上で内容に論理性があるかどうか検討します。

K. S.

面接の練習は、学校でもやったし、クラスの友だちも練習に付き合ってくれました。

内山

そういえば「教員とは」というテーマで学校の先生と意見が違ったことがありましたね。社会問題解決のための人材育成の仕事という考えをK. S.さんが学校の先生にしたところ、「教員は生徒の人間性や人格を形成する仕事だから」と言われたそうですね。

K. S.

そういうこともありましたね。

内山

教育学部ならそれでいいんですが、K. S.さんは社会課題の解決を掲げている大学に入るのだから、人間性や人格の形成は当たり前にした上でというスタンスでいいのではないかという結論になりました。そして、11月15日の試験日を迎えました。直前はどんな心境でしたか?

K. S.

基礎教養試験で知識に漏れがないか不安はありましたけど、面接はいろんな人から「問題ない」と激励をもらっていたので、それを信じていました。実際、面接はいい精神状態で挑めたと思います。でも、想定していない質問では少し焦りました。

内山

数学研究会に入ったきっかけでしたっけ?

K. S.

消去法的に選んで入ったので、そのまま答えるのは……と思って、数学でさまざまな活動をしていることに興味を持ち、さらに友だちに誘われたことも話しました。

3. 目標から逆算することの重要性

本気で練った面接練習が効いた

内山

基礎教養試験と面接、それぞれの手ごたえはどうでしたか。

K. S.

基礎教養試験は少なくとも4分の3は取れた手ごたえがありましたが、周りはもっと得点しているかもしれないとも思いました。面接はできるだけがんばったので問題ないと信じ込んで(笑)。

内山

基礎教養試験は4分の3できているなら安心でした。面接は定番で聞かれる質問や、そこを深掘りされた時にきちんと答えられたと聞いていたので、大丈夫だと感じました。面接は、K. S.さんはもちろん私も本気で練りましたから。

K. S.

合格発表は12月1日、学校でテストがあった日でした。テスト終了後にタブレットで合格を確認しました。

内山

お母様は最後まで面接を心配していたので、喜ばれていたでしょう。

K. S.

喜んでいたと思います。合格発表の前日まで、両親は「落ちてるんじゃないの?」と言っていたので。

自分の強みと弱みを知る

内山

今後の夢は大学院への進学とのことですが、大学では何を楽しみにしていますか?

K. S.

自主ゼミです。1年生から取り組めて、サポートも受けられます。また、新潟大学は学部学科を横断して授業を取ることもできるんです。社会問題解決のための思考力を育てる教員を目指す前に、まず自分が他分野のことも知る機会があるのはいいなと思っています。

内山

最後に、これから受験する後輩たちにメッセージをお願いできますか。

K. S.

自分自身の強みと弱みについてよく理解しておくことが重要だと思います。

内山

K. S.さんにとっての強みと弱みはなんだったと思いますか?

K. S.

最初は数学が強みだと思っていましたが、よくよく見ていくとそこまでの強みではないなと感じて。あまり見たくない現実でしたが、最終的にはatama+で穴を埋めることができました。弱みは、どこまでがんばっても他より点数が低い英語でしょうか。点数は上がったけれど、他教科と比べたらまだ見劣りします。

内山

大学でも英語は学びますし、コツコツ気長にがんばってください。

K. S.さんにずっと伝えていたのは、逆算することの重要性です。私自身は大学合格がゴールだと勘違いして遊び散らかしてしまいました。大学は時間もあって自由なので、自分が本当にやりたいことを見失いやすい場でもあります。やりたいことのために何をすればいいかはいつも気にしてほしいですね。そして、やりたいことがなくなった時は、時間があるからこそ先送りせずにじっくり考えて試してみてほしい。それは大学卒業後も同じです。大学受験で身につけた逆算して考える方法を、これからさらに自分のものにしてください。

K. S.

わかりました。

内山

私もまだできていないところもあるので、自分に向けての言葉でもあります(笑)。でもとりあえず、K. S.さんの大学受験については、K. S.さんも私もがんばったな、やりきったなと心から言えます。これからも楽しみながらがんばってくださいね。

 

取材・文/くりもときょうこ