卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

不登校の学習の遅れを取り戻したいと塾へ通い、中2からまつがくに入ったH・Mさん。夢はメタバースを発展させる情報エンジニア。学校の授業で触れたパソコンや、ハマったゲームやアニメをきっかけに育んだ夢は、高校3年間、揺らぐことなくH・Mさんを支えます。中2の時からのさまざまなエピソードを共有する山本雄一先生と、学校推薦型選抜合格までを振り返りました。

H・Mさんのデータ

●出身校/上田西高等学校 ●将来の夢/情報エンジニアとしてメタバースを発展させたい

中2・7月

上田駅前校(当時、上田天神校)に入塾。atama+で数学、英語をはじめる。この時の将来の夢は放射線技師

中3・3月

上田染谷丘高校に不合格。併願で合格していた上田西高校特進コースへ進学

高1・11月

高校の課題の多さ、土曜授業などで塾との両立が難しくなり退会。駿台atama+学力判定テストは退会後も継続

高2・2月

上田駅前校に再入塾。atama+で英語、数学、化学をはじめる。将来の夢は情報エンジニアで、志望校は群馬大学情報学部

高3・8月

群馬大学のオープンキャンパスに行き、学校推薦型選抜を視野に入れる

9月

atama+英語、数学はほぼ仕上がる。一般入試の勉強もはじめる

9月~11月

群馬大学の学校推薦型選抜のために、志望理由書と小論文の添削、面接の練習を重ねる

11月

群馬大学情報学部を学校推薦型選抜で受験

12月

群馬大学情報学部計算機科学プログラムに合格

現在

大学から出ている課題に取り組む

1. メタバースを発展させたい!

不登校の時期にも夢のきっかけはあった

山本

H・Mさんの夢は情報エンジニアです。中学の時に、学校給食の献立をエクセルでつくったのが面白かったと言っていたのを覚えていますよ。メタバースへの関心は?

H・M

仮想世界をテーマにしたアニメ「ソードアート・オンライン」の影響です。五感のすべてが感じられる仮想空間が舞台で、それを現実世界でかなえられたらいいなと思ったんです。難病を抱えた人や身体が不自由な人でも、メタバース上なら自由に動けるようになるので。

山本

H・Mさんはまつがくには中2の時に入りましたが、塾自体は前から通っていたんですよね。

H・M

別の塾に小5から通っていました。小4から不登校になって勉強が遅れていたので。

山本

勉強の遅れを取り戻したかったんですね。中学はどうでしたか?

H・M

休みがちでしたが、通っていました。

山本

親御さんはH・Mさんの不登校にどのように接していたんですか?

H・M

最初は「行ったら?」と促されることもあったんですが、専門家に相談して「無理矢理行かせるのはまずい状態ですよ」と言われてからは、行きたい時に行けばいいと変わりました。気分転換に県外へ連れ出してくれたり、ゲームやマンガを与えてくれたり。それがきっかけでゲームのプログラミングに興味を持つようになりました。

山本

夢のきっかけは不登校の時期にもあったんですね。

H・M

不登校も意外といいことあります。悲観的になる必要はなくて、なんとかなると分かりました。

勉強に集中できる環境を求めて

H・M

前の塾はカリキュラムが変わって合わなくなってやめました。塾に行きたい気持ちはあって、母がいろいろ調べてくれてまつがくを知りました。

山本

中2の7月でしたね。最初はatama+で数学と英語をはじめました。まつがくはどういうところがよかったですか?

H・M

まず、家から離れていて知り合いが誰もいなかったのがよかったです。あとは個別指導で集中できる環境だったことと、近くにコンビニがあって気分転換しやすかったこともあります。

山本

中学の間は週3くらいで通って、来ると長時間勉強していましたよね。

H・M

atama+は不正解だと関連する前の単元まで戻るので、小学校で定着していなかったところが響いて時間がかかっていたのだと思います。

山本

もどかしさもあったでしょう。数学は連立方程式をやり込んで得意科目になっていましたよね。

H・M

中学の時は、数学・国語・社会は比較的得意でした。英語が苦手で……。

山本

中2の時、英語のテストができなくてかなり落ち込んで「また現実逃避しなきゃ」と言っていたのが印象に残っています。高校受験でも英語は苦労していました。上田西高の特進コースに進学して、高1の11月にまつがくを一旦やめます。

H・M

特進コースは課題が多く土曜日も授業があって、塾との両立に苦労していました。受験期に戻ってくるかもしれませんと伝えて、一旦退会しました。

山本

やめた後も駿台atama+学力判定テストは続けていて、熱心でしたよね。高1の頃から、大学に行きたい気持ちが強いと感じていました。

2. 学校推薦型選抜は“賭け”

高2でまつがくにカムバック

山本

高2の2月にまつがくに再入会してくれました。よく戻ってきてくれましたよ。その頃から群馬大学情報学部の名前が出ていましたね。

H・M

高1の時から決めていました。授業の大学調べで、国公立大の中でいちばんマッチしていたのが群大だったんです。

山本

H・Mさんのことは中学の時から見ていますが、僕が本格的に接するようになったのは高3からです。戻ってきてからはatama+の英語・数学・化学に取り組んで、ほぼ毎日来ていましたよね。

H・M

両親が送迎をがんばってくれたおかげです。

山本

お母様が懇談の中で、「本人は自信がないから、とにかく自信をつけてあげたい」と仰っていたんですよね。学校での成績はどうでしたか?

H・M

テストは大体10位には入っていたと思います。

山本

勉強ができないわけじゃない。受験となると自信が持てなかったんですね。実際、9月の段階で英語は仕上がってきて、数学も好調。10月のatama+共通テストAI特訓では、英語・数ⅠA・国語はまつがく全校舎のランキングでトップ10入りして着実に力をつけていました。評定も4.3と高めで、欠席も少なかったですよね。

H・M

中学の時と比べたら、がんばって行っていました。

山本

私立大の指定校推薦枠を取るには、欠席の上限は14日間まででしたっけ。

H・M

高2の修学旅行で行った台湾で胃をやられた上に風邪もひいてしまって、欠席が15日を超えてしまって。

山本

それは本当に気の毒でしたね。私立の指定校推薦は取れないということで、学校推薦型選抜と一般入試に照準を合わせることになりました。

オープンキャンパスでいっそうやる気に

山本

夏休み中は群大のオープンキャンパスに行きました。

H・M

情報学部の模擬授業で聞いたサイバーセキュリティの話が面白くて。しかも、2つ上の先輩が学校推薦型で同じ学部に合格していたんです。高校からも「受けてみない?」と打診があって、学校推薦型に向けて腹をくくりました。

山本

学校推薦型は合格が保証されているわけではないので、一般入試の勉強も並行して取り組まないと、推薦が受からなかった時に一気に窮地に立たされます。これはなんとしても受からせないと、と思っていました。実際、一般入試では群大は厳しいという話はH・Mさんとしていました。

H・M

一般入試では、私立の東京工科大や明星大を考えていました。

山本

オープンキャンパスでやる気に火がついたのも、合格の後押しになったんじゃないでしょうか。帰ってきてから「ぜひ行きたい」と言っていたのをよく覚えていますよ。

3. 「勉強する習慣」に助けられた

ハプニング続きの入試当日

山本

夏休みは一般入試の勉強をしつつ、群大の推薦入試に向けて小論文の基礎づくりとしてまずは参考書を解いてもらいました。9月に入ってから本格的に対策をスタートしました。

H・M

志望理由書はまつがくで10回以上先生とやり取りして仕上げました。

山本

小論文は過去問3年分、学校推薦型3本と後期3本の計6本を15回以上添削して、面接練習も5回以上やりました。相当やり込みましたよね。

H・M

小論文はできなさすぎて大苦戦しました。長くて難しい課題文をまず要約して、課題文をふまえて自分の考えをまとめるというものでした。テーマのジャンルもばらばらで。

山本

難易度の高い小論文でした。面接は、いざやってみると度胸がある上に論理的に話せるので驚きました。志望理由も、将来やりたいことと大学でやりたいことが一直線につながっていて矛盾がありません。そして迎えた11月22日が試験日でした。

H・M

小論文は、それまで時間が余ることはなかったのに、書き終えたら時間が余っていて、ダメかもしれないとあきらめの境地でした。それが、私は後ろの端で会場を見渡せる“特等席”だったので、答案回収時に書けていない人がけっこういることが分かってしまったんです。もちろん内容までは判読できません。私は答案用紙を埋めることはできていたので「いけるかもしれない」と。

山本

午後の面接もハプニングがありました。

H・M

面接室の扉が重くて開かなくて……焦っていたら試験官の先生たちが笑って、緊張はどこかに行ってしまいました(笑)。

山本

質問は想定外のものが多かったようですね。

H・M

「得意科目は地理です」と答えたら、城好きらしき試験官から「上田城について知っていることはありますか?」と聞かれました。何も知らないから、「あー、えっと、真田とかですよね」としか言えなくて。潔くあきらめて、私はたまたま知っていた海外の城を出してグローバルな視野持ってますアピールで方向転換しました(笑)。

山本

(笑)。ゲームの話もしたんですよね。

H・M

好きなゲームを聞かれたので、熱弁を振るいました。

山本

そういうところが多分、試験官に刺さったんでしょう。手ごたえはどうでしたか?

H・M

なかったですね。ほぼアドリブ状態で言いたいことだけ言って、これが面接の正解なのかはわからないままでした。

山本

合格発表の12月5日まではどんな心境で過ごしましたか。

H・M

気持ちを切り替えて、私立の一般入試向けの勉強をメインに、数学・英語・化学の勉強を進めていました。

山本

僕は受かる気がしていましたよ。面接が抜群だったので。

山本

落ちたものと思っていたので、合格発表は受験票も出さずに寝そべってスマホ片手に見ていました(笑)。見慣れた番号があったので慌てて受験票を出して……。近くにいた母も、私が急に変な動きをしたので驚いていました。

山本

合格すると思っていましたが、現実になると改めて「よくやったな」と嬉しかったですね。

ゲームも勉強に役立った

山本

大学から入学前の課題が出ているんですよね。

H・M

共通テスト過去問を3年分以上解くのと、課題図書から好きな本を読んで要約して感想を書いて提出します。

山本

大学に入ってから楽しみにしていることはありますか?

H・M

サークルです。調べたら百人一首や弓道があって、面白そうだなと。

山本

楽しみですね。H・Mさんは、受験を経験して「ひとつのことを学ぶとさまざまなところで使える」ことがわかったと言っていました。これはどういうことでしょうか。

H・M

ひとつ学ぶと派生した知識につながって広がっていくところです。たとえば理科で何かの原理を学ぶと、それを解き明かした人の名前を知るじゃないですか。そして、その人の国のことを知っていく……という感じです。

山本

なるほど。きっとこれからも、そうやって学びはつながっていくと思いますよ。最後に、これから受験する人にアドバイスやメッセージがあればお願いします。

H・M

早めに塾へ行くことを決めたのは大きかったです。勉強する習慣は早めにつけたほうが絶対いいし、後になって“お釣り”が返ってくることも分かりました。

山本

“お釣り”というのは?

H・M

小中で学んだ前提があるから、高校の授業が理解しやすく感じるというようなことです。それに、継続して勉強する力がついていたので、勉強に対して前向きでいられました。

山本

やっぱり勉強は習慣ですね。気分が乗らない時はどうしていましたか?

H・M

ゲームで気分転換していました。ゲームは勉強にも役立ちます。私がよくやっていたゲームは世界史も日本史も学べるし、英単語もゲームから入ってやっているうちに習慣になりました。

山本

中2から入ってくれたH・Mさんが、群大に合格したのは感慨深いです。とにかく一生懸命で真面目で、連絡もマメにしてくれていました。そういうことがきちんとできる人は多くはないんですよ。

H・M

それはうるさく言ってくれた親のおかげですね。

山本

そうなんですね。そういうきちっとしたところが合格につながったと思うので、大学でもそのよさを活かして一生懸命がんばってください!

 

取材・文/くりもときょうこ