卒業生x校舎長対談 卒業生x校舎長対談

私立上田西高校の特別進学コース(以下、特進コース)に通いながらも、勉強は苦手という佐藤輝弥さん。ふたりの弟が先に入塾していたまつがくに、高3の夏から通い始めます。

夏期講習会でいきなり、それまでとは比べ物にならない時間を費やす勉強漬けの毎日に突入。共通テスト本番での手痛い失敗も乗り越え、2次試験対策も粘り強く取り組み、吉報を呼び込みます。

厳しいけれどフォローも忘れない両親、同じように国公立大学に行きたいと兄の背中を追いかける弟たちとともに駆け抜けた受験期を、東御田中駅前校(以下、東御校)の佐々木千史校舎長と、上田駅前校(以下、上田校)で輝弥さんを見守った山本雄一先生と振り返りました。

佐藤輝弥さんのデータ

●出身校/私立上田西高校特別進学コース ●将来の夢/ロボット開発

高3・5月

当時中3と中2の弟が通う、まつがく東御田中駅前校で体験授業を受ける。部活が忙しく、入塾は保留に

7月

再度体験を経て入塾。高校が近い上田校と、自宅が近い東御校の両方に通う。週6日通い、週1回はMIC(まつがく超個別コーチング)で面談

8月

夏期講習会は東御校に通い、atama+だけで週最大1400分勉強する。夏期講習会が終わるまでに、苦手だった化学・物理に集中的に取り組み、ともにレベル2を7割まで仕上げる

12月

英語で苦戦して対策を先生と話し合う。コンスタントに長時間勉強に取り組む

1月

共通テストは英語で失敗したものの全体で約6割得点。受験校を山形大学工学部機械システム工学科に決め、2次対策に力を入れる

2月

前期試験。受験後は不安な日々を過ごす

3月

山形大学に合格

大1・現在

現在はひとり暮らしをしながら大学生活を満喫

1. 勉強は苦手だった

入塾は一旦保留に

佐々木

私が初めて輝弥くんと会ったのは、輝弥くん高3の12月でした。東御校に校舎長として赴任したタイミングでした。山本先生は、輝弥くんが入塾した時から見ていらっしゃいますね。

山本

佐藤家は輝弥くんの弟ふたりが、東御校に通塾してくれていました。お父様が「上田西高校特進コース3年に大学受験を控えている兄がいる」と紹介してくださって、輝弥くんが体験に来てくれたのが最初かな。

佐藤

もともと勉強は苦手でした。親からは「勉強しろ」ばかり言われていたので、強制されるのが嫌で。それで、1~2年の時は結構サボっていたんです。それが3年になって一気に成績が低下してしまって。父からは「塾に行け」と言われましたが絶対に嫌だったので、ハンドボール部が忙しいからと言って、まつがくに入るのは保留にしていました。

山本

上田西高の特進は、国公立や難関私大を目指す人が多いので、部活に入るどころではないという雰囲気だと聞いています。

佐藤

模試は1年から受けますし、課題も多くて厳しいです。部活はもともと入っていなくて、高2の夏にハンドボール部の部長になった友人から「人数が減って大会に出られないから、入部してキーパーをやってくれ」と言われたんですよ。中学時代は柔道部だったので、ガタイがよく適任だと思われたのかもしれません。3か月渋っていたんですが、粘り強く説得されて入部することにしました。

山本

そういえば輝弥くん、高2の模試では信州大学がB判定でしたよね。苦手と言いつつ、特進に行くだけあってそれなりに成績は取れていたんだね。

佐藤

それに関しては、まぐれだと思います。

山本

部活が落ち着いた7月に再度体験して、入塾してくれました。輝弥くんは、自宅は東御だけれど、学校は上田だったので、土曜日は東御校、平日は上田校の両方を使ってくれていました。

佐々木

atama+はタブレットとWi-Fiがあればどこでもできるし、データ共有できるからこそ可能な勉強スタイルですね。入塾してからは、ほぼ毎日来てくれていましたね。

山本

一度来ると3~4時間はいたよね。あんなに嫌がっていたのに(笑)。

佐藤

さすがに、成績がもっとひどいことになりそうだったので。このままだと大学合格は結構厳しいというのは自分でも感じていました。入塾前は、家での勉強はまったくやらないか、やっても1日30分くらいでした。高校では物理、化学、英語が課題になっていました。

山本

それで、週1の英単語確認テスト、atama+で物理と化学、週1回のコーチングから始めてもらいました。

佐藤

タブレット学習は、小学生から中1までで経験はありました。atama+は、勉強への嫌悪感をかき立てられなかったのがよかったです。

夏期講習で週1400分

山本

20日間の夏期講習会では東御校に通っていました。データを見ると、atama+だけで週最大1400分(約23時間)勉強していますよ。

佐藤

1日3時間強ですか。そんなに勉強している自覚はなかったです。

山本

苦手だった物理と化学を集中的にがんばって、どちらもレベル2を7割達成する進捗でした。数学はレベル2を完了して、レベル3に着手するところまで進んでましたね。

佐藤

物理と化学は模試でも出るし入試に必要だったので、少しでも克服しておきたかったです。

山本

理科ばかりやっていた印象がありますよ。他もやりなよと言っても理科をやっている(笑)。

佐藤

ひとつの科目をやりはじめると、それに集中するのが好きなんです。他の科目も同時並行すると頭から抜け落ちてしまう感覚があって、定着するまではずっとやっていたいというのがあります。3年に入ってガクッと下がっていた成績も少しずつ上がってきて、ちゃんと成果が出ていてすごいなと思っていました。

山本

輝弥くんは、まつがくに来た時に集中してやるスタイルでしたね。力はあるのに、あんまり勉強が好きじゃないんだなというのは感じていました。まつがくに来ない日曜日も、僕としては勉強してほしいと思っていたんだけどね。「受験生は、休日は1日10時間くらいやって当たり前なんだよ」と言ったら、すごくびっくりしていたのが印象に残っています(笑)。

佐藤

「そんなに勉強しないと大学って入れないのか! 遊べないじゃん!」と思って、めっちゃびっくりしました。

2. 着実に力をつけていく

英語に苦戦

山本

夏休み明けも引き続きatama+をやって、物理と化学はレベル3まで行きました。共通テストの過去問は、9月頃からやったかな。

佐藤

難しかった年は全然点数が取れなくて、ちょっと苦労しました。

山本

そういえば、国語はぜんぜんやっていなかったよね。

佐藤

やらなくてもそれなりに点数が取れていて、苦手意識もありませんでした。

山本

共通テストは選択式なので、国語でも答えがひとつに絞り切れない問題は出ないんだよね。ちゃんと根拠がある。根拠を探していけば正答できる感じかな。

佐藤

英語に苦戦してましたね。長文の読解が苦手で……。

佐々木

私が初めて輝弥くんに会った12月頃、まさに英語に苦戦していて「長文を読むのに時間がかかる」と言っていました。パラグラフの1文目だけ読んで、ざっくりでいいのでこういう話をしているんだなというのをまずは把握してはどうかとアドバイスしたのを覚えています。

佐藤

佐々木先生のそのアドバイスは、すぐに実践しました。

佐々木

東御校でも上田校でもコツコツ長時間勉強していましたよね。

山本

上田と東御をはしごしてました。土曜日に弟たちが東御で勉強していると、上田からはしごしてきて一緒に帰るみたいな。入塾前は勉強をほとんどしていなかったのに、急にこんなにやり続けてつらくなかった?

佐藤

常時きつかったです。でもみんな10時間くらい勉強してるという話だったんで、「みんな俺より勉強してて、やべぇヤツばっかだな」と思ってやっていました。それに、まつがくで勉強する以外は割と息抜きしていたんで。

山本

ゲームとか? お父さんから「勉強しろ」と言われなかった?

佐藤

言われます。「はいはい」と二つ返事でかわしてました。

山本

(笑)。まつがくに来た当初は、九州大学工学部に行きたいって言っていたんだよね。「そこ目指すんなら、もっとやろうよ」って。

佐藤

やっぱり特進はみんな目標が高いので、目指すなら旧帝大という感じだったので。九大工学部は旧帝大の工学部の中で、一番入りやすかったんです。

共通テストの失敗から2次に向けて

佐藤

10月に受けた2次試験のプレテストで、心が完全に折れました。

山本

それで、目標を信州大学に変えました。

佐藤

1月の共通テスト本番では、英語を大失敗してしまって……。中学時代に、誰かから「後半の問題のほうが難しくて配点が高い」というのを聞いて、後ろから解くのが習慣になっていたんです。でも、今年の共通テストはかなり難しくて、その習慣が裏目に出てしまいました。先にはじめた後半の問題で苦戦していたら、時間がなくなってしまって。

山本

「前から解いてね」という話はしていたんだけど……。

佐藤

しっくりこなくて。結局、最後から解いていました。

山本

それでも全体では6割得点できていたんだから、すごいですよ。ここで、2次で英語がない山形大学工学部機械システム工学科はどうだろうという話になりました。山形大なら、判定もよかったしね。今年の共通テストは、他の生徒さんも苦戦していたので、その中で6割取ったのは、僕の中では「輝弥くんは、最低限の仕事はしたな」というイメージだったんです。

佐藤

マジでどうしようと思っていたんですが、先生から「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言われて。

山本

2次は物理と数学。対策として赤本をやることにしました。僕からお父さんに「10年分やりましょう」と伝えたら、本当に10年分揃えてくれて。

佐藤

机の上にすごく分厚い本が積み上がっていて、ヤバかったです。「こんなにやらなくてもいいんじゃないか」と思いつつも、やっていました。

山本

時間を測りながらやってもらって、できなかったところはatama+で復習して。

佐藤

atama+は定着していない部分を知るのによかったです。

山本

atama+だと、まったく同じ問題は出なくて、少し変化させて出題されるんですよね。あと2次は記述なので、問題集『リードα』(数研出版)の物理もやっていました。2次試験は2月25日頃だったかな。受験後は、とても不安そうでしたね。

佐藤

手ごたえがなかったわけではないんですが、単位のつけ忘れのような細かいミスをしていなかったかなという不安でした。それで、山本先生のところに試験問題を持っていって。

山本

正解かどうか、しきりに確認していたよね。結構合っていたから、僕は合格している感触を持っていました。

3. 継続すれば自分の理想に近づける

叱り過ぎて10円ハゲ!?

佐藤

合格発表の時は、思わず叫びました。本当に受かったんだな、って。母と一緒に見て、父にも連絡して。山本先生には、直接上田校に行って伝えました。

佐々木

その日はちょうど、私も上田校に行っていました。そこに輝弥くんが来て、「合格しました」と報告してくれて。あと、弟の凪紗(なぎさ)くんもちょうど高校受験で、ダブル受験だったんですよね。

佐藤

この時、弟はまだ受験前だったので、父から「お前もちょっと勉強してよ」と言われて、家で勉強していいました。

山本

そうだったんだ。

佐藤

親や弟がいる時は、一応。弟がいなくなると、すぐやめてました。

山本

佐藤家はちょっと珍しくて、お父さんがとても熱心だったんだよね。一度お父さんに「なぜそんなにすごく一生懸命、お子さんに勉強をやらせているんですか?」と尋ねたことがあったんです。そうしたら、「一生の間の一時期、勉強にどっぷり浸かって取り組む期間があってもいいんじゃないかと思っているんです」と仰っていて、信念を感じました。輝弥くんは、お父さんがいなかったら多分合格していなかったと思うよ。

佐藤

父は叱り過ぎて10円ハゲができてました。

山本

そうなの!? 多分、誰よりも受験のことを心配していたんじゃないかな。厳しいけれど、よくできた時は目いっぱいほめるよね。本人に直接、「よくがんばった!」とほめている姿を送迎の時に見かけていました。叱っていると子どものダメなところばかり目についてしまって、フォローがおろそかになりがちなんですよね。お父さんは口も出すけどフォローもしっかりしていたから、すごいと思いますよ。

めちゃくちゃ自由で楽しんでいます

山本

輝弥くんは、ロボット関係を学びたいということで大学を決めたよね。いつからロボットに興味があったの?

佐藤

保育園くらいですかね。父が持っているプラモデルを「ちょうだい」と言ったらくれたので、遊び倒していました。それがきっかけかな。今はまだ具体的なイメージはないですが、ロボットで人の役に立てればいいかなと思っています。

山本

大学生活はどうですか?

佐藤

めちゃくちゃ自由で、バイトを楽しんでいます。

山本

兄弟3人で賑やかだったところからひとり暮らしで、ホームシックにはならない?

佐藤

弟にリモートで勉強を教えたり、家族と話したりする機会が多いので、そこまでさびしくはないですね。

佐々木

私は弟さんたちと面談する機会が多いんですが、二言目には「兄が」と言っていますよ。輝弥くんががんばる背中を間近で見てきたから、ほぼ毎日まつがくに来て、1日3時間以上学習するというのを続けています。ふたりとも、お兄ちゃんのように国公立大学に進学するのが目標ですね。

山本

追いつきたい、追い越したいというのがあるんだろうね。

佐藤

正直言って、弟のほうがすごいと思いますよ。中3の遼佳(はるか)は俺より頭が良くて、高1の凪紗は身体能力高いです。でも、俺も遼佳も凪紗も、言われないと動かない。

山本

お父さんがいないとダメってことだね。

佐藤

もうダブル受験はないので、さすがに10円ハゲができることはないと思いますが……。

山本

大学受験を通して気づいたことがあれば、教えてくれるかな。

佐藤

やり続けることが大事かなと思います。継続しなければ絶対に入れないし、逆に継続すれば自分の理想に近づける。僕は半年必死で勉強しましたけど、3年間かけて少しずつ勉強していったほうが絶対よかったなと後悔しています。だから、これから受験という人には「勉強したほうがいいよ」と伝えたいですね。でも、2年前の自分にそう伝えたとしても、多分勉強しなかったと思うんですよね(笑)。

山本

かっこいいね。そういうことをしっかり言えるというのは、成長したね。3年になって研究室に入ると本当に厳しくなるから、今を楽しんでください。いや、研究室は大変だけど、やっぱり楽しいよ。大学も職場もゴールじゃない。ぜひ活躍してください。

佐々木

お父さんも仰っていたように、今後の人生で何かあった時に、今回がんばった経験が踏ん張れる力になると思うので、その力があるということを誇りに思ってください。あとはふたりのかわいい弟が追いかける背中を見せ続けてくれるように、お願いします!