高校の先生に聞いてみよう!⑥~長野工業高校編~

高校の先生に聞いてみよう!⑥~長野工業高校編~

みなさんこんにちは!
まつがくでは生徒の皆さんへの進路指導のために、高校の先生にお時間をいただき、お話を伺っています。今回は長野市、長野工業高校へお伺いしてきましたので、その内容をご報告します。

日にち:2018年12月4日(水)
お話をしてくださった方:長野工業高校 北澤教頭先生
インタビュアー:松本・徳武

Q: 2019年度から新しい学科に再編されますが、具体的にはどのようになりますか?
A:現在の全7学科から環境システム科をなくし、6学科に再編します。ただし、単に環境システム科を廃止するという事ではなく、環境システム科のカリキュラムを他の6学科がそれぞれ引き継ぐイメージです。たとえば住環境は建築科に、工場の機械設備の環境は機械科に、という感じです。

Q:再編の目的は何でしょうか?
A:今までのように、機械科は機械のことだけやっていけばいいという時代ではなくなりました。例えば、機械科の生徒も建築や電気の知識がないと、これからの社会での「ものづくり」には対応できません。そのため、他の学科の学びにも触れられるような、学科横断型のカリキュラムにすることが目的です。

少子化の影響もあり、なかなか本校の趣旨に沿った生徒が集まりづらくなっているという現実があります。そのなかで「いかに社会の変化に対応できる人材を育成するか」が課題となっています。さらに、AIやロボット技術の進歩により、今までのように「ひとつの技術を極めればそれで一生食べていける」状況ではなくなりました。
本校では、「汎用的かつ多面的な職業人」「持続可能な社会の実現に貢献できる人」「地域社会に貢献できる人」を育成することを教育の柱にして、生徒を育成していきたいと考えています。

Q:人材支援育成支援連絡会とは何ですか。
A:高校と大学、企業が協力し合って、これから社会に出る生徒を育成するプログラムです。地元企業や大学との交流を通し、生徒に先端の技術に触れ、世界を知ってもらうこと、勤労観や職業観を身に付けてもらうことが目的です。つまり、働くとはどういうことか、今高校で学んでいることは社会でどのように活かせるのか、を知ってもらいたいという事です。

また、早い段階から地元企業と繋がりを持つことで、将来長野市で活躍する人材を育成したい、地域を活性化したいという気持ちもあります。もちろん県外、海外に出たいという生徒も大いに歓迎ですが。

今後、学部と企業で連携して共通のプロジェクトを行ったり、課題研究をしたりといった試みも行っていく予定です。

Q:学年別のカリキュラムはどのようになりますか?
A:大まかにこんな感じで考えています。

【高1】4・5月に安全教育を徹底します。いろいろな分野を学ぶ際に安全は欠かせませんからね。例えば、機械工学科の生徒が物質化学の化学薬品を扱う場合、実験の基礎知識がなければ本当に危険です。それは他の学科も同じです。ですので、入学した生徒にはまず安全について徹底的に学んでもらいます。

【高2】2学期から3学期に自分の学科以外の全学科の実習に参加してもらいます。実習は週1回3時間ですが、毎回完結する形で考えています。この実習を通して他学科が何をやっているのか、どんな機械や材料があるのか、どんな人がいるのかなどを知ってもらいます

【高3】
高2までの活動で得た知識や人脈を活用して課題研究を行います。これは4~5人の班でひとつの課題について研究していくというものです。この際にそれまでに積み上げてきた大学や企業との交流、他の学科との交流が活きると思います。

こんなデータが欲しいけど、確かあそこにあったな、とか、あの機械はここで借りようとか、あの人に聞けばこういうことができそうだ、とか、生徒が自主的に動き課題をクリアしていくことで、主体的で対話的な深い学びができると考えています。

この場合、何より重要なのはコミュニケーション力です。生徒には周りを味方にできるようなコミュニケーション力を身に付けてほしいです。

Q:就職や進学についてはどのような状況ですか?
A:卒業後の進路は就職、進学で半々です。進学はほとんどが推薦、AO入試で、センター試験で受験する生徒はほとんどいません。
国公立大学にも工業高校推薦枠があるので、例えば毎年信州大学工学部などにも進学しています。本校の生徒はすでに実験や研究を通して深い学びを実践しているので、大学を選ぶ際も、具体的にこの教授に教わりたいから、というように理由がはっきりしていることが多いです。この点はもしかしたら世間一般的な進路選択のイメージとはちょっと違うかもしれませんね。

就職を選ぶ場合の就職率はほぼ100%です。本校宛に企業から求人票がきます。例えばトヨタは高卒生に関しては工業高校出身者しか採用しません。今年は公務員も数十人受かりました。就職、進学のどちらにするかは、高2の7月の面談くらいから決めていきますが、中には高3の最後まで迷う生徒もいます。

Q:仮の話ですが、本年度生徒が留年した場合、来年度はどの学科の所属になるのでしょうか?
A:事情により進級できない場面も出てくるかもしれませんが、校内で責任をもって対応します。生徒にも危機感があるので、留年は出ないと信じています。

Q:ポートフォリオ(※1)はどうしていますか?
A:クラッシー(※2)は入れていません。担任が紙媒体で残しています。
※1:生徒のレポートや試験用紙、活動の様子など、学習課程を記録として残したもの
※2:学校向けに開発されたクラウドサービス。教師・生徒・家庭間のデータ共有にも活用されている。

Q:英語のスピーキングについてはどのような方針ですか?
方針は英語科の教師に任せていますが、今のところ授業でスピーキングを行うことは考えていません。ただ、英検には力を入れています。また実業高校向けのGTEC(※3)がありますので、それは推奨するつもりです。
※3:英語運用能力を技能別に絶対評価で測定する検定。「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測定できる。

Q:長野工業高校への受験を希望している生徒についてですが、将来の夢や目的意識をはっきり持っていた方がいいでしょうか。
A:中学生の段階で「この職業に就きたい」という気持ちが明確な生徒は正直あまりいないのではないでしょうか。ですのでそこまでは求めませんが、ただ、「なんとなく今の点で受かりそうだから長野工業を受験する」ということはやってほしくないです。専門性が高い高校ですので、単純に点数で判断するのではなく「自分はこんなことに興味がある、だから長野工業にしよう」という気持ちで受験してほしいですし、そうでないと仮に入学しても授業についていけず、厳しい状況になる可能性が高いです。

【まとめ】
職業高校ということもあり、社会に出た後について深く考えている印象を強く受けました。在学中から企業と連携し、共通のプロジェクトを行うといった試みはその最たるものですし、これからの社会環境へ適応できる人材の育成、地元への貢献、という発想も、やはり職業科ならではの特徴ではないかと思います。とても勉強になりました。

北澤先生、お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました!

長野工業高校公式サイト http://www.nagano-c.ed.jp/choko/